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今月のPickUp高校生探究学習

セクソロジー(性科学)を、かっこいい学問に。「性」のタブーを超える未来を語り、最優秀賞へ

東恩納 沙奈 さん

沖縄県立那覇国際高等学校

ノートを抱えて笑顔を見せる東恩納沙奈さん

全国高校生英語プレゼンテーションキャンプ「GEM Talks(ジェムトークス)」で最優秀賞にあたる文部科学大臣賞を受賞した、沖縄県立那覇国際高等学校3年・東恩納沙奈さん。沖縄から初めてファイナリストに選ばれ、全国の舞台で「Break the Barrier(私が起こす変革)」というテーマに向き合いました。

東恩納さんがプレゼンテーションで取り上げたのは、性教育の必要性と性科学の発展です。性科学(セクソロジー)とは、「性」をテーマに医療や健康のみならず社会学や経済学とも掛け合わせた学問です。アルゼンチン留学中に経験した性被害を出発点に、「知識は自分を守ってくれる」という切実なメッセージを、重いテーマでありながらも聴衆との対話を意識した表現で届けました。

中学生の頃から英語・日本語の弁論大会に挑戦し続けてきた東恩納さんは、今回初めて本格的なプレゼンテーション大会に参加しました。順位を追いかけるだけではなく、伝える相手を意識し、自分自身との対話を重ねた2か月間。その過程で得た学び、性教育への問題意識、そして沖縄の中高生に伝えたい言葉を伺いました。

GEM Talks 2026 本戦のステージでプレゼンテーションする東恩納沙奈さん
GEM Talks 2026 YouTubeより

GEM Talks への応募を決めたきっかけを教えてください

GEM Talks の存在を知ったのは高校2年の時。当時私はアルゼンチンに留学していたので、予定が合わず応募を見送りましたが、大会の存在が心に残り続けていました。中学1年から英語弁論大会に出場し、高校でもさまざまな挑戦を重ねてきたこともあり「高校生活の最後に、自分と深く向き合える大会に出たい」と考えるようになりました。

また、"Break the Barrier" というテーマを見たとき、自分が伝えたいことと重なると感じました。大会のウェブサイトやスタッフのインタビュー映像を見て、「ここなら自分の思いを受け止めてもらえるかもしれない」「挑戦してみたい」と心から共感できたことが応募への後押しになりました。

ファイナリストに選ばれるまでの道のりを教えてください

1次選考では、2分間のプレゼンテーション動画を撮影して提出しました。動画選考を通過したら、オンラインで15分程の面接を受け、ファイナリストに選ばれました。

その後、本戦に出場するまでの間の2ヶ月間はどのような準備がありましたか?

これまでの弁論大会では、原稿を提出して当日に向けて1人で練習するものだったのですごく孤独でしたが、GEM Talks はプログラム型の大会で、本選に向けたワークショップに参加しました。他のファイナリストから刺激をもらったり、エグゼクティブプロデューサーの伊達さんにはすごくサポートしていただきました。伊達さんとのワンオンワンのセッションでは泣きながら相談したくらい頼っていて、あの時間がなければ全然テイストの違うものになっていたと思います。その時に色々な気づきを書き留めたGEMノートは宝物です。「宝石(GEM)ができるのは熱と圧力が加わった時」という関口さんのインタビュー動画でおっしゃっていて、緊張も宝石になるためには必要なこと!と向き合うことができましたし、私が性科学に抱いている可能性、熱をうまく伝えよう!という気になれました。

なぜ、性教育や性暴力の予防をテーマに選んだのですか?

そもそものきっかけは、私がアルゼンチン留学中に性被害にあったことです。話をしていた相手に違和感を感じ「離れたい、離れなきゃ」と現地での挨拶であるチークキスをしようと顔を近づけたところ、口づけをされて身体を触られました。そのことにすごく傷ついたのですが、その時に「ノー」と言えたのは、留学前のオリエンテーションで「どこの国でも挨拶として口と口とのキスは絶対にありえない」と教えてもらっていたから。知識があるとないとでは、大きな差が出ると思いました。私には10歳下の妹がいるのですが、性加害の怖いところって愛情表現に捉えられてしまうこともあるし、国が違えば文化の違いと捉えられてしまう。正しい性教育を幼い頃からやっていないと本当に危険だと思います。それで自分に何が出来るかと調べたら、日本では全然性教育が進んでいないことに直面して更に危機感を覚えました。

確かに、我々親世代も教育として触れたことがないように思います。

私が小学校5年生の時に、妊娠出産のことを理科の授業で習ったのですが、「なんで男性しか持っていない精子がお母さんのお腹に?」という素朴な疑問を先生に投げかけたら「お母さんに聞きなさい」とはぐらかされて。家に帰っても親は共働きでどちらもいなかったので、たまたま持っていたスマホで検索したらすごくショッキングな画像が出てきたのです。もっとよく調べたら88%位のアダルトコンテンツが暴力を含んでいるということで衝撃を受けました。今は2〜3歳の子でもスマホに触れる時代です。生成AIで簡単に裸の画像を生成することも出来ます。性加害の若年化も問題になっている中で、これは極めて身近で世界的な問題だということを、危機感を持ってしっかりとデータを取り入れて伝えたいと思いました。

プレゼンで最も意識したことは何ですか?

プレゼンは対話だということです。私は最初に応募した動画で「3人に1人が性加害にあっています」という問題提起から始める構成にしていたのですが、それでは重いなと思い、TED Talk なども参考にして本番では "Today, I want to talk about SEX" と始めました。背景のスクリーンには大きく "SEX" と一言。その時のお客さんの「えっ?」という顔が忘れられないです。弁論は自分の言いたいこと主張するものだけど、プレゼンは対話。そして対話の主役は観客だとワークショップで教えてもらったので、内容も文章の構成も本当に話している感覚で作成しました。また、「一緒に考えてもらえませんか?」と呼びかけ、7分の間絶対に誰にもスマホを開かせない、飽きさせないという意識で挑みました。

東恩納さんがプレゼンで伝えたかったこととは?

私は将来性科学者になって、日本の政策立案や研究の発展に貢献したいと考えているのですが、プレゼンの中では性科学者になった後、日本の大学に性科学部を設立し、学問として扱うことでタブーをなくし、むしろ性科学をかっこいい学問として捉えてもらいたいと語りました。つまり私なりのタブーを壊す解は、「性」を学問として扱うことでタブーを超えていくということです。

最優秀賞の発表を聞いた瞬間どのように思いましたか?

最初に企業賞で呼ばれてから、どんどん周りが名前を呼ばれている中ですごく不安になりました。でも、最後に私の名前が呼ばれた時、これまで支えてくれた人たちの顔が浮かんで一瞬泣きそうになりましたが、スピーチがあるからとぐっと堪えて。スピーチして写真を撮ってステージから降りる直前で涙が止まらなくなりました。また、今年からオンラインの配信があったので観てくれた友達からの連絡が止まらなくて。東京に1人で怖いと思っていましたが、周りの支えがあることがこんなに心強いんだと思いました。

最後に、沖縄の中高生へのメッセージをお願いします。

都会の子と比べて、沖縄の子の探求の方がリアリティがあると感じています。熱い想いもある。ただそれをぶつける場所がないだけ。だから「自分には無理だ」と思わず、まずは情報収集をして、自分のやりたいことを書き出したり、人に話してみたりしてください。AIとの対話でもいい。私が留学中に思いついた事を書き込んだノートは8冊になり、そこから探求テーマを見つけました。次は今回学んだ事をどの様に将来につなげていくか考えているところです。皆さんも小さなステップでも、進み続けることで自分が輝ける場所を見つけてください。

#GEM Talks#英語プレゼン#那覇国際高校#性教育#探究

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