「一人の百歩前進より、百人の一歩前進」―GN1が歩み続ける理由―
山口県を中心に中国地方にて、教育者に向けた研修会を開催するなど、教員同士で繋がり学ぶことができる様々な活動を発信しています。

採用されて2年目。授業もうまくいかない。学級づくりもうまくいかない。そんな悩みを抱えながら、毎日教室に立っていた。保護者から厳しい言葉をいただくこともあり、自分には教師が向いていないのではないかと思うこともあった。周りの先生方に助けてもらいながら、なんとか一年間を終えることができた。
「今度は、自分が周りの先生を助けられる教師になりたい。」
そう思い、自ら学びの場に足を運ぶようになった。授業を見たり、実践を聞いたりする中で、少しずつではあるが、授業や学級づくりに手応えを感じられるようになっていった。採用7年目、私はGN1に加入した。そこから、仲間と一緒に学ぶことが始まった。
そこで実感したのは、教師は一人で成長するものではないということだった。
より高いレベルの学級を知ることで、自分の理想像が高まる。そして、その理想に近づくための方法をより多く知ることで、多様な子どもに対応するための選択肢が増えていく。子どもは一人ひとり違う。だからこそ、教師にはたくさんの引き出しが必要なのだと思う。
もちろん、学んだからといって、すべてがうまくいくわけではない。授業が思うようにいかない日もある。子どもとの関係に悩むこともある。それでも、仲間と語り合い、学び直し、また教室に立つ。その繰り返しが、少しずつ教師としての自分を育ててくれた。

そして、教師として忘れられない出来事がある。
採用2年目のとき、私が一番うまく関係をつくることができなかった子がいた。教師としては、「うまくいかなかった」と心に残っていた。
数年後、その子が中学生になった。小学校時代にお世話になった人たちを招き、お礼のカレーパーティーを開いた。そして、そこに私も呼んでくれた。
あの日に食べたカレーの味は、今でも忘れられない。
教師としてはうまくいかなかったと思っていた。でも、相手はどう感じていたのだろう。私たちが「失敗だった」と思っている出来事も、時間がたてば、誰かにとっては大切な思い出になっていることがある。
この経験から、子どもとの関わりを、その時の自分の評価だけで決めつけてはいけないと学んだ。そして、教師にとって「うまくいかなかった」と感じる経験も、決して無駄ではないのだと思えるようになった。
だからこそ、教師には学び続けてほしいと思う。目の前の子どものために、自分の引き出しを増やしてほしい。そして、うまくいかないときには、一人で抱え込まず、誰かに相談してほしい。自分一人では見えなかったものが、仲間の言葉によって見えてくることがある。
私がセミナーを開催し続けている理由も、そこにある。
「一人の百歩前進より、百人の一歩前進」。
突出した実践者が一人現れることも尊い。しかし、百人の教師がそれぞれ一歩ずつ前に進めば、その先にはたくさんの子どもたちの変化が生まれる。誰かの実践を知り、「自分もやってみよう」と思う。その小さな一歩が、別の誰かの一歩につながっていく。私は、そんな学びの輪を広げていきたい。

もう一つの願いは、「幸せな教師、幸せな子どもを増やす」ことだ。教師が疲弊し、孤立していては、子どもの前で笑顔になることも難しい。だからこそ、教師同士が安心して語り合い、失敗も葛藤も共有できる場が必要だと思っている。仲間がいるから、もう一度やってみようと思える。
そして、この学ぶ文化を山口から発信し、学生や若い先生たちにも仲間になってほしいと思っている。教師という仕事は、子どもの人生に関わる、とても価値のある仕事だ。だからこそ、日本の教師がもっと自信とプライドをもって教壇に立ってほしい。そのために、私自身も学び続けたい。
また、保護者の方々にも知っていただきたいことがある。学校は、何でも完璧にできる教師が子どもを育てる場所ではない。子どもと教師が、ともに悩み、ともに成長していく場所でもある。うまくいかない日があったとしても、その一日だけで子どもの成長や教師の頑張りを決めつけるのではなく、少し長い目で見ていただけたらと思う。
2011年4月、GN1は「教職員の教師力を高める」ことを目的に3人の教師によって設立された。名前に込めた思いは「義理と人情が一番」。以来、授業例会や研修会、地域と連携した活動などを続けている。私自身も、その学びの輪の中で多くの仲間に支えられてきた。
一人ではできない。
しかし、仲間がいれば一歩を踏み出せる。
その一歩が、いつか誰かの一歩につながる。そんな学びの輪を、これからも広げていきたいと思っている。
