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調査・コラム

PISA 2025で見えた、世界の「勉強」のいま

2026年9月8日、OECDが15歳を対象にした国際学力調査「PISA 2025」の結果を発表しました。日本はOECD加盟38か国の中で、科学・数学・読解の3分野すべてで初めて1位になりました。

一方、世界全体では学力の低下が続き、とくに「読む力」の落ち込みが目立っています。ジュクタン編集部では、学力上位の国の子どもたちが、いま何を使ってどう学んでいるのかもあわせて調べました。

世界のトップは中国4地域とシンガポール

  • 約76万人91の国・地域の15歳が参加
  • 1位日本はOECD加盟38か国で3分野すべて
  • 約9%「雑な読み」の割合(OECD平均)
  • 37%シンガポールの数学トップ層の割合

PISA 2025には、91の国・地域から約76万人の15歳が参加しました。科学・数学・読解の3分野すべてでトップだったのは、中国の北京・上海・江蘇・浙江の4地域と、シンガポールです。

このほか、エストニア、日本、韓国、マカオ、台湾、イギリスが3分野すべてでトップ10に入りました。科学の上位7つのうち6つがアジアで、ヨーロッパからはエストニアだけでした。

PISA 2025 科学の得点 上位7か国・地域(OECD平均との差)
  1. 中国(北京・上海・江蘇・浙江)+115597点
  2. シンガポール+78560点
  3. マカオ+59541点
  4. 台湾+58540点
  5. 日本+56538点
  6. エストニア+45527点
  7. 韓国+44526点

出典:OECD『PISA 2025 Results (Volume I)』

日本はOECDで3分野1位

日本は全参加国の中でも、3分野すべて5位以内に入りました。

分野全参加国での順位得点前回(2022年)比
読解4位503点−13点
科学5位538点−9点
数学5位525点−10点

新たに加わった「デジタル世界での学び」の分野でも、日本はOECD加盟国で1位でした。文部科学省は、学習指導要領に沿った授業改善と、デジタル学習環境の整備が成果につながったとしています。

ただし、得点そのものは3分野とも前回より下がっています。世界全体の得点がさらに下がるなかでつかんだ1位、という点も押さえておきたいところです。

世界では「読む力」が落ちている

OECD加盟国の平均点は、科学・読解・数学のすべてで過去最低になりました。とくに落ち込みが大きいのが読解です。

OECDによると、落ちているのは「情報の真偽を見極める」「複数の情報をつなぐ」「批判的に読む」といった、AI時代にこそ大事な力でした。文章を急いで読み、すばやく答えて間違える「雑な読み」の割合は、2018年からほぼ倍になり、OECD平均で約9%に達しています。

スマホやAIで答えがすぐ手に入る時代です。「速く、たくさん」より「正確に、深く」読めるかどうかが、これからの差になっていくのかもしれません。

上位国の子どもたちは、何を使って学んでいるか

学力上位の国では、子どもたちの学び方そのものが大きく変わりつつあります。

AI学習端末

中国:塾から、家庭のAI学習端末へ

中国では2021年の「双減」政策で、学校の教科を教える塾が厳しく規制されました。財新(Caixin)によると、その後、家庭の教育費は対面の塾から、家で使う学習端末やAIサービス、習い事へと移っています。

問い返すAI

エストニア:国が高校生にAIを配る

科学と数学でヨーロッパ1位だったエストニアは、国の事業「AI Leap」で高校生にAIを提供しています。2025年9月に高校1・2年の生徒2万人と教員3,000人から始まり、2026年9月からは職業学校と新入生の計3万8,000人に広げる計画です。

特徴は、OpenAIやGoogleと組んで作った学習アプリが、すぐに答えを出さない点です。たとえば作文を頼むと、まず「何のための作文?」「いま時間はある?」と問い返し、生徒自身に考えさせます。責任者は、AIを「便利な召使い」ではなく「コーチ」にしたいと語っています。2026年1月時点で、国内154校の高校のうち100校以上が導入しました。

見せ合う勉強

韓国:勉強時間を「見せ合う」アプリ

韓国の受験生に定番の勉強タイマーが「YPT(ヨルプムタ)」です。科目ごとに勉強時間を計り、その間はほかのアプリを使えなくします。勉強仲間のグループでは、メンバーがいま勉強中か休憩中かがリアルタイムで分かり、大学入試や高校入試など目的別の全国ランキングも見られます。2026年10月時点で、韓国のApp Storeの教育カテゴリで3位に入っています。

YPTは国外にも広がっています。シンガポールの名門校ラッフルズ・インスティテューションの生徒新聞は、校内グループの1位が1か月で321時間、1日平均10時間以上を記録したと紹介しました。一方で、競争が行き過ぎて睡眠や食事を削ったり、勉強していない時間まで記録したりする危うさにも触れています。

もう一つが、数学の問題を撮影すると解き方が出るアプリ「QANDA」です。運営会社によると登録者数は9,700万人で、利用者の9割は韓国の外にいます。日本語版は2018年に始まり、2019年には日本の教育アプリで1位になりました。

トップ層の厚さ

シンガポール:トップ層の厚さが別格

シンガポールは平均点だけでなく、最上位レベル(レベル5以上)の生徒の多さが際立っています。数学では37%、科学では26%がこのレベルに達しました。OECD平均はそれぞれ8%と7%です。

編集部から:答えをくれるAIか、考えさせるAIか

答えをくれるAI

中国

解き方をすぐ届ける家庭教師

あなたはどっち?

考えさせるAI

エストニア

問い返して考えさせるコーチ

中国では、AIが家庭教師として「答えと解き方」を届けています。エストニアでは逆に、AIにわざと答えを出させず、自分で考えさせようとしています。同じAIでも、国によって使い方の考え方は正反対です。

実はPISA 2025も、AIと成績の関係を調べています。OECDによると、学校の課題そのものにAIを使う生徒は、使わない生徒より得点が低い傾向でした。一方で、AIをよく使いながら、その使い方を学ぶ機会もある生徒は、やや成績が良い傾向がありました。ただしその機会は恵まれた家庭の生徒に偏りがちで、OECDは「AI格差」が広がるおそれも指摘しています。

日本は今回、OECDの中でトップに立ちました。でも世界では読む力が落ち、AIは子どもたちの手元にもう届いています。ご家庭では、お子さんにどちらのAIを使ってほしいですか。そして中高生のみなさんは、AIをどう使っていますか。

ジュクタンでは、中高生の学びとAIの実態を調べる「JYUKUTAN YOUTH RESEARCH」を続けています。結果がまとまり次第、このサイトでお伝えします。

出典

(ジュクタン編集部)

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