祝創設5周年
沖縄でグローバル人材を磨く かんざわ英進塾
東京大学卒業後、23年勤務した外務省を退職し、沖縄で「かんざわ英進塾」を開校、この度5周年を迎えた官澤治郎先生。2021年というコロナ禍の混乱した時期に開校した決断は、「間違いではなかった」とこの5年を振り返ります。

「国づくりは人づくり 人づくりは教育」
ジュクタン(以下ジ) この5年間を振り返っていかがでしょうか?
官澤先生(以下官) おかげさまで、この5年間はとても充実した期間を過ごさせていただきました。外務省を辞めて塾を開校するという自分の決断は、間違いではなかったと感じています。学習塾は順調に運営できており、塾の開校と同時に設立した沖縄グローバルセンターでは、毎月のように下は中学生から、上は社会人まで様々な人たちと交流しています。
ジ 外交と教育は一見異なる分野に見えますが、どのような関連性があるのでしょうか?
官 外交官時代に世界各地で見聞きして感じたことは、国づくりというのは結局人づくりであり、人づくりはやはり教育なんですね。外交と教育は一見全然違うような領域に見えますが、実はとても密接に結びついています。世界各国での教育支援の仕事もさせていただきましたが、私も日本人ですし、むしろ日本の社会の方が他の国の社会以上に、これからのことを考えると大変なことも多い。だから私は沖縄という身近な場所から人づくりをしていこうと考えました。
ジ アフガニスタンでの教育支援で印象的だった出来事はありますか?
官 アフガニスタンで国際協力の仕事をしていた時、現地の人たちに「日本が支援するとしたら優先順位は何か」と聞いたところ、道路もなければ病院もなければ発電所もない状況なのに、彼らは「学校が欲しい」と答えたのです。これは衝撃でした。学ぶことは将来のためでもありますが、それよりも人間本来の欲求として学びたいという気持ちがあり、学ぶことは楽しいことであるのだと彼らから教わりました。
ジ この5年、沖縄の子どもたちを見てきてどう感じましたか?
官 沖縄の子どもたちは感度が高くて感受性が豊か。感動したり、怒ったりすることを隠さない。講演会でも他の都市圏の子よりも反応がいいので、これからが楽しみです。もともと高い共感力に加えて、確かな学力と教養を身につけたグローバル人材が、沖縄から世界に飛び立つことを、塾はこれからもサポートしていきます。そして、中学生・高校生には、受験勉強などに真剣に取り組んでもらいます。地道に努力して、目標を達成する自信をつけること、学力を伸ばすことの重要性を何よりも感じているからです。

官澤治郎先生
東京大学法学部出身
外務省で23年間以上勤務。エジプト、イスラエル、イラク、アフガニスタン、米国などで外交官として働く。
2018年から沖縄事務所の副所長。
大好きな沖縄の地域貢献をする決意で2021年7月に外務省を退職し、9月に「かんざわ英進塾」をオープン。
同時に「沖縄グローバルセンター」を設立。
令和8年度 那覇地区
社会教育指導員連絡協議会 研修会
「沖縄県の教育について考える」
〜沖縄の次世代に伝えたいこと〜

令和8年7月6日、浦添市立中央公民館にて、那覇地区の社会教育指導員連絡協議会研修会が開催され、かんざわ英進塾の官澤先生が講師を務めました。社会教育指導員とは、教育委員会の事務局や公民館などに配置され、社会教育主事を助けて社会教育の振興や住民の学習活動の支援を行う専門職員のこと。学校や塾とは別の形で、教育や学習活動に関わっている方々です。ここでも官澤先生は外務省時代に経験した世界の紛争と平和構築の活動を踏まえて沖縄の教育について考察。「人づくり=教育」の重要性を提起しました。
世界情勢と戦争の現実
官澤先生は、自身の経歴を軽く紹介した後、冷戦終結後の世界情勢について詳しく解説。1989年の冷戦終結後、安定的な国際秩序が期待されたものの、実際には地域紛争が多発したことを指摘しました。特に2001年の同時多発テロ以降、アメリカが中東での戦争に巻き込まれ、アフガニスタン戦争(2001-2021年)、イラク戦争(2003-2011年)が続いたことを説明しました。官澤先生は、戦争について5つの重要な認識を示しました。
- ①戦争・紛争は増え続けている(年間1000人以上の犠牲者を出すことを戦争、年間25人以上の死者が出ることを紛争と定義する)
- ②戦争は不条理なものである
- ③戦争終結には時間がかかる
- ④平和構築にはさらに長時間を要する
- ⑤積極的平和の必要性(単に戦争がない状態ではなく、社会的正義が実現された状態)
沖縄での教育活動の意義
次に、官澤先生が沖縄で教育に携わる理由と沖縄の特性について説明しました。外務省時代から、各地の中高生を対象に講演会を重ねてきた官澤先生から見る沖縄の若者は、他地域と比較して感受性が高く、世界の課題を自分ごととして考える力がありました。また、歴史的背景(琉球王国時代からの多様な文化との接触)、地理的優位性、そして国際協調主義を体現する精神性(「万国津梁」の理念)が沖縄の強みであり、このような環境で次世代の人材育成に携わることに意義があると感じたとのことです。
次世代のウチナーンチュを強くしなやかなグローカル人材に
不確実で不透明な時代だからこそ、多様性のあるダイナミックな社会で自分らしい豊かな生き方を追求してほしいという官澤先生。沖縄の次世代に伝えたい価値観として、グローカル人材の育成について説明しました。グローカル人材とは、「Think Globally, Act Locally」(世界的視野で考え、地域で行動する)人材と定義。必ずしも国際社会(グローバル)で活躍する必要はなく、世界と繋がりながら身近なところ(ローカル)で行動する人材の重要性を強調しました。このような人材育成は個人の豊かな人生と地域社会の発展に寄与するはずです。そのための提案として、沖縄の学力テストの問題点や他府県との競争環境の違い、教育インフラの格差解消などいくつかの問題を提起し、解消の必要性について語りました。