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今月のPickUpコラムnews

森弘達先生と読み解く教育改革最前線㉕ 生成AIの活用で変わる中学校・高等学校の教育

森弘達先生と読み解く教育改革最前線㉕ 生成AIの活用で変わる中学校・高等学校の教育

〜生成AI「AI-Bou」を活用した生徒の個別最適な学びと先生の働き方改革の実現〜

今回は、30年にわたり、昭和薬科大学附属高等学校・中学校、武蔵野大学附属千代田高等学院、大妻中学高等学校、Z会映像コース、静岡県のトップ公立・私立高等学校の難関大学進路指導支援・医学部受験指導等で大学受験指導や探究教育、学校改革に携わり、東大合格者100名以上、医学部合格者1000名以上、海外トップ大学合格者を指導、東京学芸大学大学院教育学研究科(教職大学院)で学校経営、学校組織マネジメント、「学習する組織」を研究、2025年度から札幌日本大学中学校・高等学校副校長及び明星中学校・高等学校特別顧問として学校経営や学校改革、先端教育をリードする森弘達先生が長年、実践と研究を行ってきた「学習する組織」と学習習慣の確立・学習指導・学習支援について読み解きます。森先生が副校長として学校改革を進めている札幌日本大学中学校・高等学校は、SSH、SGH、国際バカロレアをはじめとする理数教育やグローバル教育を推進し、2026年度からは新たに「東大・医進・サイエンスプログラム」「SNUアカデミック・コモンズ」を開講することが決まり、受験生・保護者・教育界からその教育内容に期待と関心が高まっています。。

AIと共存する知性をどう育てるか?

近年の生成AIの急速な進化は、教育の前提そのものを揺るがすことになるでしょう。
私は『私教育新聞』の特集「AIと共存する『知性を磨く』新しい教育のかたち。」で、こ
れからの教育は「知識を覚える教育」から「知識を使いこなす教育」へと根本的に転換す
る必要があると指摘しました。そして、AI時代の教育で育むべき能力は、① 思考力・②
判断力・③表現力の3点に集約されます。知識は生成AIが提供するので、人間は「意味を
考える存在」となります。AI(人工知能)ではないHI(人間知性)を育むことが学校教育に求
められます。生成AIは単なるツールではありません。思考を拡張し、知識の探索を加速
し、表現を支援する「知的パートナー」です。この存在を前提とした教育をデザインする
ことができなければ、生徒は社会との接続を失うことになりかねません。

生成AIを使わない者は取り残される時代

現代社会において、生成AIはすでに「使うかどうか」ではなく、「どう使うか」の段階
に入っています。文部科学省のガイドラインでも、生成AIは「人間の能力を補助・拡張す
るツール」と位置づけられています 。つまり、AIを使わないことは、電卓を使わない、
インターネットを使わないことと同義になりつつあります。企業の現場ではすでに、文章
作成、資料作成、分析、プログラミングにおいて、生成AIの活用が前提となっています。
このような状況において、学校の現場がAIを避け続けることは、生徒を「過去の社会」
に置き去りにすることになりかねません。

オズボーンの予測と現実

2013年、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授らは、「約47%の仕事が
自動化される可能性」を指摘しました。この予測は当時大きな議論を呼びましたが、現在
の生成AIの進化は、それを現実のものとしつつあります。重要なことは、「仕事が消える
か」ではなく、「仕事の内容が変わる」という点です。
例えば、次のような変化が起きています。文章作成 では AIとの協働編集、プログラミング では AIによる補助生成、教材作成 では AIによる自動設計、つまり、人間の役割は「実行者」から「設計者・判断者」へと移行しています。

生成AIの急速な進化と日本政府の対応

生成AIは2022年のChatGPT登場以降、指数関数的に進化しています。これを受けて
日本政府も対応を進めています。文部科学省は2024年12月、『初等中等教育段階におけ
る生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)』を公表しました。このガイドライン
では、学校での活用を前提とする姿勢への転換、活用場面の具体化、リスク(誤情報・バ
イアス)への対応が明確に示されています。特に重要なことは、「AIはもはや例外的な存
在ではなく、教育の前提である」という認識への転換です。

5大生成AIと学校教育現場への影響

現在の代表的な生成AIは以下の通りです。①ChatGPT(OpenAI)・➁Gemini
(Google)・③Claude(Anthropic)。④Copilot(Microsoft)・⑤Perplexityです。これらは
すべて、対話型思考支援、文章生成、情報整理、プログラミング補助を可能にし、学習ス
タイルそのものを変えることになります。

生成AIによる「個別最適な学び」の実現

従来の教育は「一斉授業」が中心でした。しかし、生成AIは、生徒一人ひとりに合わ
せた学習を実現します。文部科学省も、AIは「能力を拡張し可能性を広げるツール」であ
ると評価しています。具体的には、理解度に応じた解説、個別課題の生成、即時フィード
バックが可能になります。これこそが、個別最適な学び」につながります。

生成AIを活用した生徒の学びの具体例

学校教育の現場ではすでに次のような活用が進んでいます。そして、これらはすべて、
「思考の量と質」を飛躍的に高めます。また、従来、教師は、教材作成、採点、コメント
作成に膨大な時間を費やしてきました。しかし、生成AIにより、問題作成の自動化、記
述答案の一次評価、コメントの生成が可能となりました。
(1)小論文指導
AIが構成案を提示 → 生徒が改善 → AIが再フィードバック。
(2)英語学習
AIとの英会話 → 即時訂正 → 表現の高度化。
(3)探究学習
テーマ設定 → 情報整理 → 仮説構築 → 発表資料作成。
(4)ディベート
肯定・否定両論の生成 → 論理構築訓練。

教師の業務効率化の具体例

生成AIによる教師の業務効率化の具体的には、「定期テスト問題の自動生成」「評価観
点別コメント作成」「指導案の作成」「保護者連絡文の作成」があります。これらにより教
師は、「作業」から「指導」へ時間を再配分することができます。

評価は生成AIの方が公平か?

この問いは非常に重要です。結論から言えば、「一定条件下ではAIの方が公平である」
ということになります。理由には「感情に左右されない」「一貫した基準で評価」「大量デ
ータに基づく判断」があります。一方で、「文脈理解の限界」「創造性評価の難しさ」も存
在します。したがって、「生成AI+教師」のハイブリッド評価が最適です。

AIを使わない生徒は落第するのか?

極論に見えるが、現実になりつつあります。なぜなら、「学習効率が圧倒的に違う」「情
報収集力に差が出る」「表現力が拡張される」からです。ただし、重要なことは、「生成AI
を使うこと」ではなく、「生成AIを使いこなすこと」です。

生成AIの学校での活用の課題と対応

生成AIは、今後さらに進化することが予想されますが、課題もあります。課
題としては、AIへの過度な依存、思考停止のリスク、教師のAIリテラシー不足を挙げる
ことができます。したがって、今後、重要になることは、「AIを使わせること」ではな
く、「AIを使いこなす力を育てること」です。

教育特化型生成AI「AI-Bou」とは何か?

私がアドバイザーを務めます株式会社トリガーが開発したAI学習支援ツール「AI-
Bou」は、単なる汎用生成AIとは一線を画す教育特化型AIです。その最大の特徴は、学
習支援」に最適化された設計思想にあります。一般的な生成AIが情報生成を目的とするの
に対し、AI-Bouは、思考の深化と学習プロセスの質の向上を目的として設計しています。
その根底には、「生徒の思考を奪わない」「答えを与えるのではなく、問いを深める」「学
習の過程を支援する」つまり、AI-Bouは「答えを出すAI」ではなく、「学びを伴走する
AI」なのです。そして、個別最適な学びの充実と先生の業務効率化、そのうえで独自の評
価システムの構築と確かなキャリア教育と進路指導を実現します。

AI-Bouの教育的価値

AI-Bouの教育的価値は、単なる効率化ではありません。重要なのは、以下の3点です。
(1)思考の可視化
生徒の思考プロセスを言語化し、教師が把握できます。
(2)学習の自律化
生徒が自ら改善し続けるサイクルを形成します。
(3)フィードバックの即時性
「書いたらすぐに改善」という学習サイクルを実現します。

AI-Bouの主な機能と特徴

AI-Bouの機能は、教育現場のニーズに即して設計しています。主な機能として次のよう
なものがあります。また、評価・添削可能なファイル形式として、プレゼンテーションス
ライド、ポスター、論文、テキスト、手書き文書、動画・音声があります。
(1)まとめて評価・添削
「1クラスまとめて」など数十名のファイルを一括でアップロードしても、数分で出力
します。
(2)生徒アップロード
生徒に成果物を直接アップロードさせることで壁打ちのように使えるため、先生の業務
負担軽減にもつながります。
(3)結果の一括ダウンロード
「クラス」など絞り込みをかけた上で、結果の一括ダウンロードができ、評価などを効
率化できます。
(4)データ保管
過去数年間にわたって、添削物と添削結果をクラウド上に保管することができます。
(5)学校独自の評価実現
学校独自の評価基準を簡単に設定することができます。また、評価項目を柔軟にカスタ
マイズすることもできます。汎用の評価基準も準備されています。
(6)進路・キャリア支援
提出した蓄積データを分析し、生徒の強みや志向性などを提示します。納得できる選択
を支援します。

AI-Bouの学校教育での活用

AI-Bouはすでに全国の多くの中学校・高等学校で導入されており、次のような学習で
活用することができます。
(1)探究学習・課題研究
アイデア・途中経過、成果物、プレゼンテーション動画。
(2)進路指導
小論文、志望理由、面接動画。
(3)振り返り
授業、単元、学校行事、生徒会活動。
(4)英語学習
和文英訳、英検ライティング、スピーキング。
(5)教科学習
理科の実験レポート、社会科・地歴公民のレポート、情報のレポート、国語の読解記述、国語の意見文、国語の要約文、家庭科のレポート、保健体育のレポート、数学(実証中)。

AI-Bou導入校の先生方からの声

AI-Bou導入校の先生方からは、「課題の評価時間が3分の1になりました。生徒へのフ
ィードバックも楽になりました」「添削や文章指導に対して、抵抗感や苦手意識がある方に
とっては、AI-Bouはすごく良いものだと思います」「生徒自身に使わせることで、教員の
負担軽減と、生徒の課題のブラッシュアップの両方に効果的だと思います」「添削自体は、
すぐに終わりますし、その後の評価のすり合わせの時間も短縮できたと思います」などの
声が寄せられています。特に注目すべきは、「時間の創出」ではだけでなく「指導の質の向
上」が実現している点です。

AI-Bouがもたらす教育改革の本質

AI-Bouの学校教育への導入は、単なるICT化ではありません。教育の構造そのものを
変えます。従来の学校教育では、先生方のマンパワーに依存し、教師中心の一斉指導で生
徒へのフィードバックができなかったり遅れたりしていました。AI-Bou導入後の学校教育
では、先生方のマンパワー依存することから脱却し、 生徒中心の個別最適で生徒へのフ
ィードバックが即時でできるようになります。学習の主導権が、教師から生徒へと移行
し、学習者中心主義の教育改革を実現することができます。

AI-Bouが示す未来の教室

AI-Bouが示しているのは、未来の教室の姿です。そこでは、生徒と教師がともに学びを
デザインし、生徒一人ひとりが主体的に学び、AIが思考を支援し、教師が生徒一人ひとり
の学びに伴奏するという新しい学習環境が実現しているでしょう。生成AIは教育を効率
化するだけではなく、教育を進化させるのです。

参考文献・推薦図書
・今井翔太『生成AIで世界はこう変わる』(SB新書)
・サルマン・カーン『AIは私たちの学び方をどう変えるのか』(東洋館出版社)
・竹内祐二『生成AI時代の私立学校勝ち残りのマネジメント』(中央経済社)
・プレジデントムック『年収2000万円のAI活用術 』(プレジデント社)
・森弘達『FUTURE』volume.3 STEAM編(SRJ)
・森弘達『ジュクタン』連載「森弘達先生と読み解く教育改革最前線」(カフーブランディング)、『私教育新聞』連載・特集(モノリス・ジャパン)
・文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」
・文部科学省資料「学校現場における生成AIの利活用」
・安川新一郎『未来思考2045 危機と分断、そしてAIは世界をどのように変えるのか?』(ダイヤモンド社)









森 弘達(もり ひろたつ)先生

現在、学校法人札幌日本大学学園札幌日本大学中学校・高等学校副校長・吹奏楽部スーパーバイザー、学校法人明星学苑明星中学校・高等学校特別顧問、学校法人電子学園iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授、特定非営利活動法人ロジニケーション・ジャパン副理事長、国際バカロレアディプロマプログラム(IBDP)アドミニストレーター、シュピール室内合奏団アドバイザー、沖縄探究ラボ所長・森教育研究所所長。東京、北海道、沖縄を拠点に全国で教育活動を展開。著書に『ハイスコア!共通テスト攻略現代社会』(Z会)、『特化型小論文チャレンジノート志望理由・自己PR編』(第一学習社)、探究教材『FUTURE』volume.1・2・3・小学生版(SRJ)など多数。モノリス・ジャパンのYouTube番組『教育プロデュース・チャンネル』に出演。コロナ禍でも自ら学びを進め、学校図書館司書教諭の免許取得、学校法人東京音楽大学指揮研修講座修了。国立大学法人東京学芸大学大学院では学校経営、学校組織マネジメント、学習する組織、私学経営等を研究し学位を取得。公立大学法人名桜大学、学校法人都築学園、学校法人明星学苑、学校法人札幌日本大学学園において、FD研修や教職員研修の講師を務めた。

学校法人昭和薬科大学附属高等学校・中学校教諭・進路指導部主任・生徒指導部主任・高校3学年主任・吹奏楽部顧問・ディベート部顧問、学校法人武蔵野大学附属千代田高等学院副校長、学校法人大妻学院大妻中学高等学校主幹・進路指導部長・探究科主任、Z会映像コース講師、沖縄県沖縄次世代委員会委員(沖縄県知事委嘱)、浦添市未来まちづくり委員会委員(浦添市長委嘱)、浦添市てだこ市民大学運営委員・講師(浦添市長委嘱)、浦添市まちづくり生涯学習推進協議会委員(浦添市長委嘱)、税務大学校沖縄研修支所講師、一般財団法人日本私学教育研究所研究員、大前研一創設特定非営利活動法人政策学校一新塾講師、沖縄県吹奏楽連盟理事、国分寺市介護保険運営協議会委員(国分寺市長委嘱)、国分寺市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画評価等検討委員会委員(国分寺市長委嘱)等を歴任。

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