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今月のPickUpコラム

第15回内村鑑三先⽣の思想から読み解くもの / 儀間 敏彦(東海大学 教授)

第15回内村鑑三先⽣の思想から読み解くもの / 儀間 敏彦(東海大学 教授)

Ⅰ.はじめに

 「鑑(かんが)みる」という⾔葉は、その⼈のおかれている環境やタイミングなど含めて、⼤事な意思決定や感情表現をするときに⽤いる。⼈は⾃分の⼈⽣を3 度、鑑みる。そういう意味で、つけられた歴史上の⼈物が、内村鑑三(うちむらかんぞう)先⽣(1861-1930)である。内村鑑三先⽣の思想と⽣涯の⽬的は、「2つのJ」で表される。それは、キリスト教の(Jesus)と⽇本(Japan)である。内村先⽣は、「⽇本⼈とは何か」という問いかけから議論を組み⽴て、最終的には、「私たちは後世に何を残すべきか」を明らかにする。

II.内村鑑三先⽣の代表的⽇本⼈論。

 内村鑑三先⽣の『代表的⽇本⼈』は、⽇清戦争(1894年)の年に英語で書かれた本である。内村先⽣は、⻄欧⽂明に対し次のように説かれる。「⽇本にもキリスト教に劣らない、思想、道徳観がある」。それを世界に伝えるために、英⽂で本を出版される。そして、登場する⼈物は、以下の5⼈。
⼀⼈⽬は、⻄郷隆盛。彼は、 明治維新の⽴役者で、天を敬い⼈を愛する「敬天愛⼈」の精神は有名。私利私欲を捨てて他⼈のため、⺠衆のために尽くす姿が描かれる。⼆⼈⽬は、上杉鷹⼭(うえすぎようざん)。本書を読んだアメリカのJ・F・ケネディ⼤統領は感動する。そのエピソードはかなり有名。彼は、⽶沢藩の藩主(政治家)で、「なせば成る、なさねばならぬ、何事も。ならぬは⼈のなさぬなりけり」という⾔葉で知られている。三⼈⽬は、⼆宮尊徳(⾦次郎)。「積⼩偉⼤(せきしょういだい)」といって、⾃分の⾝近なところで、できることをやり続けることこそ偉⼤であると説く。四⼈⽬は、江⼾初期の儒学者、中江藤樹。中江は、⾝分に関わらず全ての⼈に「孝(親孝⾏)」の教えを説く。最後になる。5⼈⽬は、⽇蓮上⼈(宗教家)。仏教(法華宗)の僧侶。本書の特徴は、本書は、この5⼈の偉⼈の伝記を取り扱っているわけではないという事。そこには、常に、彼らが共通に影響をうけたもの、お天道様思想、天を敬う思想がある。
まとめよう。本書は、第1に、代表的⽇本⼈論を、英⽂にて、世界に対して発信している。第2に、それがただ単に、⽇本の偉⼈の⼈⽣を語るというレベルにはとどまらない。本質的に、先⼈の偉⼈の⼈⽣には、共通するテーマがある。それは「お天道様思想」「天(てん)」の思想である。⽇本⼈の道徳⼼は、お天道様思想にしたがっている。第3は、⻄郷隆盛から、⽇蓮上⼈にいたる紹介の順序が、内村鑑三先⽣ご⾃⾝の内観、すなわち、⼼のエポックの変遷、魂の歴史となっていることである。内村は、当初、仏教徒。仏教の教えを説く⽇蓮上⼈の⽣涯に影響をうけたはずが、⻄郷隆盛に⾄る⽣き⽅にたどりつく。⻄郷が、敬天愛⼈と表現したならば、内村は、それを、キリスト教でいう「Jesus(神)=天」とおきかえ、福澤諭吉の「天は⼈の上に⼈をつくらず」『学問のススメ』に受け継がれる。私もこの原稿を書きながら、⾃分⾃⾝を内観してみた。

III.内村鑑三先⽣の思想から読み解くもの

名護親⽅(なごうぇーかた)がでてきた。名護親⽅は、17世紀から18 世紀にかけて琉球王国で活躍した国際的な学者・教育者である。程順則(ていじゅんそく)の別称。彼は政治家や外交官として尽⼒したほか、琉球の教育・道徳の発展に多⼤な貢献をした。「親⽅(うぇーかた)」は、琉球王国の⾼位の役職名である。名護親⽅は、中国への留学や渡航を経験し、中国の道徳書『六諭衍義(りくゆえんぎ)』をまとめる。これが薩摩藩を経由して江⼾幕府に伝わる。
それが⽇本全国で、寺⼦屋となった教育思想となる。⽣涯学習の原点である。

儀間 敏彦(ぎま としひこ)
東海大学 教授 湘南キャンパス教育開発研究センター所属 那覇市出身

図2 ぎまとしひこのホームページ
https://richardgima.com/

#首里高校#儀間 敏彦#儀間研究室

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